
〜「宅地造成等規制法」改定〜 熱海の土石流被害を受けて、今国会で「宅地造成等規制法」の改定が可決された。 神奈川県内でも、怪しい(危険な)盛土計画が進められている場所があるが、土質工学の知見に乏しい行政が、法手続きに不備がないことから計画書を受理せざるを得ない現状があるようだ。 改正法が施行されれば、もう少し厳しく取り締まることができるのではないかと期待する一方、法改正されても、安全に対する意識が低ければ何も変わらないのではないかと危惧もする。 我々、地盤のコンサルタントは何ができるのか? 地盤の専門家として、市民の安全を確保し不安を払拭しつつ、事業者、行政との橋渡しをどのようにしていくのか。自問自答する日々である。 改定では、規制できる範囲が「市街地または市街地になろうとする土地の区域」に加えて「これらの区域に隣接し、又は近接する土地の区域を含む」とされた。区域を指定するためには、都道府県知事が省令で定める事項について基礎調査を行う必要があるが、今後、どのような調査がいつ頃行われるのか。行政の対応を注視していきたい。 (2022.05.23 技術部M) |
〜傾斜マンション事故から半年が過ぎて〜 横浜傾斜マンションの事故(2015年10月発覚)から、半年が過ぎた。 事故直後の11月、メディアで杭基礎の施工管理、支持層確認の不手際が報道される中、「建築基礎構造設計のための地盤評価・Q&A」(2015年11月25日 第1版)が出版された。 この書籍では、支持層の不陸、傾斜に関する考え方を述べ、適切な調査本数の考え方などが記述されている。ここに示される考え方で調査、設計、施工を行っていれば、このような騒ぎにはならなかったと思うと、実に皮肉なタイミングであった。 事故以来、地盤調査のボーリング本数について、様々な対応があったように思う。ときに過剰とも思える調査を行い、別案件では過小な数量で済ませたり。 適切な調査数量は、リスク管理の考え方によって変わるため、一概にはいえない。しかし、事前に資料収集し、基本的な地質構成、構造(形成過程)を理解しないと、適切な調査数量は決められない。 調査数量を決定した根拠と、そのリスクを明確にすることが重要だと、改めて思う次第である。 (2016.05.20 技術部M) |